長い長い夜が終わる。

 

 

 

時差の関係で、今日の夜はやたらと長い。

 

 

 

次、朝日を見る時は、日本なのか〜

 

 

 

なんて思いながら、ぼーーーーっと外を眺めていたら、だんだん外が明るくなってきた。

 

 

 

 

あーーーーー

 

 

もう日本だ。

 

 

日本に帰ってきたんだね。

 

 

 

 

あと、30分で長い長い旅が終わる。

 

 

2015年1月20日。

 

 

日本出国のスタンプを押してから489日が経った。

 

 

 

 

２人とも元気に帰れた・・・

 

 

 

 

そんな安堵感の方が大きかった。

 

 

 

 

笑顔で家族に会える。

笑顔で友人に会える。

 

 

 

 

それが何より嬉しかった。

 

 

 

 

怪我をしたり、病気をしたり、盗難にあったり、歯が欠けたり、

振り返るといろんなハプニングもあった。

 

 

 

 

明日帰るよ！って最後の日に、思いっきりガラス踏んで流血したり、

 

 

 

 

メキシコから日本に帰るぞ！っていう最後のフライトだって、今思えばとんでもなかった。

 

 

 

 

 

これで最後のフライト。

これで、私たちの世界一周は終わる。

 

 

次の目的地は日本。

 

 

 

 

そんな最後の最後の飛行機が待てど暮らせど飛ばない。

 

 

 

 

予定時間はとっくに過ぎているのに・・・

 

 

 

 

1時間が経った頃、

とんでもないアナウンスが流れてきた・・・

 

 

 

 

 

 

 

『先ほど、滑走路が閉鎖されました』

 

 

 

 

 

 

 

 

な、なんだって！！！！？？？

 

 

 

 

ん？？

 

 

 

 

 

どゆこと？？？

 

 

 

 

 

状況の把握できない私たち。

すると、機内に唯一いた日本人CAさんが引き続き、、

 

 

 

 

 

 

 

『大変申し訳ございません。

この飛行機は総重量オーバーのため、離陸できません』

 

 

 

 

 

 

 

 

え？？

 

 

 

 

 

だって、だって、飛行機だよ。

飛行機って、重すぎて飛べません！てへ。

 

 

 

なんてことあるの？？

 

 

 

確かにこの飛行機は大きいし、人もたくさん乗ってるものね。

今日はちょっとね〜

 

 

 

って、ならないでしょ！！！

 

 

 

席だって、ほら、後ろ空いてるよ！！！

 

 

 

さすがに、それくらい計算してるでしょ。

 

 

 

 

今日は貨物入れすぎちゃったよ〜〜

やれやれ。

 

 

 

 

なんてことないよね？

 

 

 

 

 

 

機内は騒めき出す。

 

すると・・

 

 

 

 

 

『ご迷惑おかけして、大変申し訳ございません。

この飛行機は総重量オーバーのため、ただいまより振替可能なお客様を募集いたします。

明日、アメリカ経由で日本行きのフライトに振替可能なお客様、いらっしゃいましたら、1年間有効の日本、メキシコ間の航空券と本日の宿泊費をこちらで負担いたします。

また、明後日の同じ便に振替可能なお客様には、宿泊費と食事代を全てこちらで負担いたします。

いらっしゃいましたら、お近くの乗務員までお声かけくださいませ』

 

 

 

 

 

 

これ、本気だ。

本気のヤツだ。

よくわかんないけど、誰か降りなきゃ動かないぞ。

 

 

 

 

 

 

 

すると、日本人のおじさん1人と、西洋人ファミリー4人が名乗り出てくれた。

ニートな私たちは、ここは手を挙げるべきか・・

ビザの関係でアメリカには行けないけど、メキシコなら・・・

 

 

宿泊費も食費もかからないならそれもありか・・・

 

 

いや、待てよ。

でも、気持ちはもう日本・・・

 

 

脳内では、

おうちのベッドで横になる準備も、

日本食をたらふく食べる準備だって、できている。

 

 

でも、仕方ない。

どうしても、飛行機が動かないんだったら、もうメキシコに泊まるしかない。

 

 

そう思っていたら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ただいま、離陸の準備をしております』

 

 

 

 

 

 

 

え、たった数人いなくなっただけで、動くんかい！！！

よくわからないまま、飛行機は動き出した。

 

 

ガソリンが減らされていたらどうしよう。

変なテロに巻き込まれたらどうしよう。

 

 

そんな心配と共に、3時間遅れで飛行機は日本に向けて出発した。

これで多分、日本に帰れる。

 

 

 

 

 

 

ほら、あと30分で日本だ。

時差の関係で昨日は夜しかなかった。

久しぶりの朝がやってきた。

 

 

 

 

ドスン・・・

 

 

 

 

 

着いた。

 

 

 

 

 

 

1年４か月ぶりの日本に。

 

 

 

 

たくさん喧嘩もしてきたけど、行ってよかったよね、

ありがとう。

 

 

 

 

お互い、会釈して成田に降り立った。

 

 

 

 

 

成田に到着した私たちはなぜか笑いが止まらない・・・

 

 

 

 

 

日本語だ・・・

ウ、ウケる・・・

 

 

 

 

 

み、みんな日本語しゃべってるよ！！！

ひゃああ、おかしいねこりゃ・・・

 

 

 

 

ケラケラケラ・・・

 

 

 

 

いちいち笑ってしまう。

 

 

 

 

ホームであるはずの日本に帰って来たのに、

帰って来た・・というより、また新しい国に来た感覚。

 

 

 

 

 

最後の荷物チェックでは、、

 

 

 

 

『メキシコから来たんですねー、ご旅行はメキシコのみですか？』

 

 

『いや、いろいろと・・・』

 

 

『あ、そうなんですね、あとはどこに行かれたんですか？』

 

 

『あ、えーーーっと、43カ国程ぐるっと・・・』

 

 

『あ、え、、そ、そうなんですねーーいいですねーーー（苦笑）』

 

 

 

 

 

こうして、苦笑いされながら、私たちは成田空港に戻ってきた。

 

 

記念に成田で写真を撮ってもらったら、、思わず、

 

 

 

 

 

『Gracias!!!』

 

 

 

 

 

と、スペイン語で言ってしまうほど、私たちはかぶれていた。

 

 

見る景色がなにもかも違和感だ。

 

 

 

なにも変わっていないと思っていたけれど、見える世界がこんなにも変わっていることに驚いた。

気づかない間に、何かが少しずつ変わっていたんだなーって思えて、また2人で笑っていた。

 

 

 

 

きっと、すぐに何事もなかったかのように、日本に馴染んでしまうんだろうけど、私は今のこの気持ちをこれから先もずっと忘れたくないと思う。

 

 

 

 

意識しないと、あっという間にこの日本という急流に流されてしまうから。

 

 

 

 

だからこそ、この感情を少しずつ整理して、ここに記していこうと思う。

 

 

 

 

 

私は旅に出て後悔したことは何もない。

次は、そんな風に思える人生を送りたい。

なんて、偉そうなことを思ってしまうほど、とても濃い500日だった。