働きたくないってダメなことですか?そんなあなたに届けたい。【おすすめ本レビュー】
いい本に出会うとつい人に紹介したくなります。
はじめは自分のために本を手に取るのに、読んでいる間に「あの人に読んで欲しいなぁ」と思うのです。
今日は、
「働き方で悩んでいるあの人に読んで欲しい」
と思った本を紹介します。
どんな本?
タイトルがストレートすぎて、書店で買うと
「この人仕事で辛い思いしてるんだろうな…」
って思われる可能性が高いですね。
ほぼ日糸井新聞の「大人の小論文教室」でコラムを元に読者からのメッセージへコメントを加えた本。
これから就職する学生に向けて書いていますが、社会人にとっても「働く」ことを考え直すいい機会を与えてくれます。
「こうしなさい!」や「これが正解!」ってのが書いてある本ではないです。
どこが面白い?
「働く」ことについて、幅広い考え方を知ることができます。
著者の考え、読者の考え、自分の考え。
それぞれを比較してみると、自分がどの場所にいるのか少しわかります。
僕は非常に浅い場所にいることを実感しました。トホホ…。
もやもやしている自分の考えを理解するのに役立つでしょう。
一番のポイントは?
この本の魅力的なポイントは、凝り固まった考えをほぐしてくれること。
本書から引用します。
思うに、「楽しい」とか、「幸せ」とか、「正義」とか、一見、反論の余地がない、だれの目にも良い言葉というのは、それだけに、使い方を間違えると危険というか、思考停止とか、すり替えとか、逃避とかを生みやすい所にあるんじゃないだろうか。
(中略)
「楽しく生きる」と「生きることを楽しむ」、この二つも似ているようで、ずいぶん違っている。「楽しく生きる」そのために働きたくない、お金がほしい、玉の輿にのりたい、というのは、いまここにない、かなたにある「楽しい人生」に憧れ、それを目指す。
でも、そのときの「楽しい人生」のイメージはどこから来るのだろう?私の場合、いまここでない、「かなた」に憧れるとき、どっか何かで刷り込まれた「ステレオタイプ」をイメージしていることが多い。それって自分らしいか?というと、そうでもない。「ステレオタイプ」というのは、とにかく典型だから、自分という個人差おかまいなしにそこにある。
しかし、「生きることを楽しむ」となったら、「いまここ」を楽しむということになる。「いまここ」はまぎれもなく、自分を取り巻く現実であり、自分の人間関係であり、よくもわるくも、いままで生きてきた自分が招いた結果だ。だから、「いまここ」を楽しむというのは、極めて自分らしい、自分にしかできない行為だ。
「幸せ」とか「楽しい」って便利な言葉だけど、人によってイメージする状況は違います。
一般論と自分の定義が混同してしまうと、迷いの森から抜け出せなくなってしまうのではないでしょうか。
「思考の混乱」に気づけるヒントこそ、この本の魅力だと思います。
著者はどんな人?
筆者の山田ズーニーさんは、
ベネッセコーポレーションで小論文編集長として高校生の考える力・書く力の育成に尽力し2000年に独立。
独立した時にこんな風に感じたそう。
いったん「居場所」を失うと、狭い箱に閉じ込められたように、とたんに「不自由」きわまりない生活になった。
うーん。共感できますねー笑
仕事を辞めるまではよくても、個人で仕事を作り出すことの壁に直面している人は多いと思います。
この本を読んで
いきなり「楽しい」や「幸せ」を求めるのではなく、働く中で自分の気持ちに気づくこともある。
実は最近出会った人で、
「はじめは今の仕事が好きではなかったけれど、やっているうちに大好きになってしまった。」
「合コンなんてありえないと思っていたけど、無理やり参加させられた合コンで出会った人と結婚してしまった。」
なんて人と出会いました。
二人が口を揃えて言っていたのは、「やる前に決めなくてよかった」ってこと。
この本を読んで「目の前にあることからやってみようかな。」って気持ちになりました。
「やらなくちゃいけない」と思わせる本もありますが、この本は「やってみようかな」と思える。
これってずいぶん違うんですね。
山田ズーニーさんは「もやもや」を言語化する能力が高いです。
最後に本書の文庫のためのあとがきから一言。
「他者を満たすことが、自分を満たす。」
「働きたくない」って悩んでいる人に読んで欲しいです!!
はー。いい本読んだ。
おすすめです!