【書評】『幸福の「資本」論』ー幸せになるための条件を考えるー

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【書評】『幸福の「資本」論』ー幸せになるための条件を考えるー

「あなたが幸せになるには、なにが必要ですか?」

この問の答えが明確なあなたは、この本を読む必要はありません。

逆に、「幸せになりたいけどうすればいいのだろうか…?」

そんな思いを持っている人は、この本から得られるものは多いと思います。

 

本作は、金融資産人的資本社会資本の3つの資本から幸福に生きるための土台を設計を提案する内容。

作者の橘玲さんの本を読むと、毎回、頭の中にある固い結び目がほどけます。

今作も「幸せ」に生きるために必要な要素が論理的に分析されていて納得感の高い本でした。

日々の生活に満たされない感覚を持っている方は、一読すると気づきがある本ですよ!

幸せになる条件

この本で書いているのは、幸福になるのは3つの条件があるってこと。

それは、

①資本的独立(金融資産)


②自己実現(人的資本)


③少しの強いつながりと広いゆるいつながり(社会資本)

 

「こうすれば幸せ」ではなく、「この条件を満たしていれば幸せになれる土台が作れる」から整えましょう。って話。

精神論やスピリチュアルな要素はありません。論理的に説明されています。

田舎のマイルドヤンキーを例にした「プア充」、サラリーマンを例にした「リア充」、すべてを持ち合わせた「超充」など、8種類のタイプに分けています。

読者自身も、自分が何を持っていて、どのレイヤーに属しているか理解できるはず。

3つの条件すべてを手にすることは難しいですが、自分がどんなタイプの幸せをになりたいか考える良いきっかけになります。

 

サラリーマンが感じる、閉塞感の正体

日本の社会は、ムラ的な間人主義に最適化され、そこから「やりがい」を生み出すようになっています。会社に滅私奉公することを「幸福」と感じるサラリーマンの感覚はその典型です。しかし、リベラル化する世界でこうした「間人の幸福」は古臭いものになり、自己決定権を持つ「個人の幸福」へと価値観は変わりました。それにもかかわらず、日本の社会は複雑なコンテキストで覆われた、ベタな政治空間のままで「自由な人間」を生きることができず、旧態依然とした「間人の幸福=伽藍のなかでのやりがい」を強要されています。これがサラリーマンが会社を憎悪する理由であり、現代日本の「閉塞感」の正体なのでしょう。

とても印象的な一文でした。

結局、会社で働くことの不満の原因は、会社の満足=従業員の満足と決めつけられてしまうから。

歴史が長く、外部からの人材流入が少ない企業はその傾向が顕著なのかもしれません。

これからの時代、新卒で人材の流動性の低い会社に入るときついな…と心の底から思います。

 

自分探しの行き着く先。

自分探しはすっかり陳腐化し、今や鼻で笑われる言葉になってしまいましたが、それでもなお消えずに残っているのは、私達がみな「本当の自分はどこかにいる」という感覚を共有しているからでしょう。そしてこの感覚は間違っていません。「本当の自分は確かに存在する」。本当の自分は幼い頃に友達のグループの中で選び取った「役割=キャラ」の別の名前です。

この考え方は目からウロコでした。

そうなんです。鼻で笑われてしまうのはわかっているけど、やっぱり「本当の自分」を追いかけてしまいますよね。

幼いころは「落ち着きがなくて、いつもおちゃらけている」キャラでした。

最近は見事に幼いころのキャラに回帰している気がします。

あなたの幼いころのキャラはなんですか?

 

おわりに

幸せになろう!みたいな本はたくさんありますが、幸せになるための条件を解説している本は多くありません。

「65歳まで仕事頑張って、そこから自由だー」とか思っている人は読んでみると「この考え方やばいかも…」って思いますよ。

幸せな人生を歩むためには、自分で人生をコントロールする力が肝心になります。

この本は、人生をコントロールをする上での指針になる一冊だと思います。

経済合理性のある生き方をしたいと考えている人には非常におすすめです。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』と合わせて読むと、より理解を深められると思います。

それじゃあまたー。

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keiki
Keiki Ishikawa,1987年生まれ。東京生まれ東京育ちの東京っ子。テンションの振れ幅が広いが、基本的にローテンションなことが多く、一週間ほど家にこもっても苦にならない精神力を持っている。大学卒業後、地方銀行に勤務。妻と出会い退職・世界一周を決意。500日間の世界一周を経て現在に至る。