地域の魅力は「素」を出しているのかどうか
先日、東京に帰った時、新宿の天ぷら屋さんに入ると、なんとお客さんの9割が外国人でした。聞こえてくる会話もほとんどが英語…。本当にここは東京?と思ってしまうほど新宿はどこもかしこも外国人観光客で溢れていました。
数年前まで聞き覚えのなかった「インバウンド」という言葉は今では誰もが知っている言葉。東京のみならずこのインバウンドブームは地方にまできています。
今、地方でも多くのエリアで「体験」を武器に外国人観光客を呼ぼう…!と躍起になっています。僕たちが住んでいるこの地域もそうです。
なぜ、外国人観光客が集まる地域とそうでない地域があるのか?
最近考えているのは、「なぜ、外国人観光客が集まる地域とそうでない地域があるのか?」ということ。
ディズニーランドのように完璧に作り上げられた世界を体験できる施設も、東京のなんでも体験できる場所も、もちろんとっても魅力的。
でも東京で生まれ育ち、世界を旅したわたしたちは、不思議と観光地がほとんどないこの地方に魅力を感じています。ここに観光客が惹かれるヒントがあるのではないか?と思っています。
先日、地元の人に頼まれて、地域のそば打ち教室にフランス人観光客を連れて行きました。そば打ちの先生と観光客のやり取りは「英語×日本語」。
はじめはお互い探り探りでしたが、ソバ打ちを教えている間に熱が入り、
「それは違う!」
「もっと薄く!!」
「優しく扱って!!!」
いつの間にかやり取りが言葉の壁を越えて、本能で理解するコミュニケーションを取り合っていました。ソバ打ちの後は、「サンキュー」しか話せないおじいちゃんがフランスの若者と仲良くなっているんです。これ以上のGood Experienceがあるでしょうか。
地域の「素」をどれだけ出せるのか
振り返ると、私たちが43か国旅をして印象に残っているのは、ローカルの人の「素」が見えた瞬間。これからの時代、場所として価値を持つことは地元の人の「素」の部分をどれだけ出せるかではないかと思っています。
東京はすべてが完璧に組み立てられていて、人間の「素」を出す余白がありません。もしかしたら「素」を出す余白のない世界に嫌気がさしていたのだなあ、と今となっては思います。
もう一つ大切なのは、「自分たちが心からいいと思っているものを提供する」こと。そば打ちのおじちゃんたちは、そば打ちが好きでやっているんです。自分は納得していないけど、「とりあえずやっている」というスタンスでは、相手に気持ちは伝わりません。たとえ、言葉が通じたとしても。
まとめ
今、わたしたちは古民家を改装して宿を作っています。
金融機関で借入の相談をしたり、建築士さんや水道工事屋さん、産業廃棄物業者さん、電気工事屋さん、デザイナーさんと交渉中。はじめての体験だらけで若干パニック気味です・・・(笑)。
絶景や作り込まれた施設もいいですが、その地域の良さを知るためには、その地域の人や「素」が見える場所が必要です。自分たちが海外で居心地の良かった場所、印象的だった場所のように、地域の「素」が見える宿、そして自分たちが心から好きだなと思える場所を作っていきたいと思っています。
お楽しみにー!それでは。