【子育ては最高のクリエイティブ】 大丈夫、子どもを通して世界はもっと広がるから

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【子育ては最高のクリエイティブ】 大丈夫、子どもを通して世界はもっと広がるから

“子育て”とは、自分の時間を削り、ひとりで戦う…。
母親は子どものために、家族のために強くならなければならないのだ…。

 

未経験ながら、勝手に「子育て=大変」といったイメージを膨らませていました。
でもきっと、このようなイメージが先行している女性もわたしだけではないはず。

 

そんな女性にこそ、和泉里佳さんの子育てを、ぜひ知ってほしい…(なんて偉そうに思っているのです)。もちろん絶賛子育て中の方にも、子育てを終えたすべての母親にも…。

 

大企業、上海でのデザイン事務所、自由大学学長、様々なキャリアチェンジを経て、たどり着いた今の暮らし。和泉里佳さんの考える「仕事と子育て」についてお伺いしました。

◎和泉里佳(いずみりか)さん

大企業で働いたのち、27歳で上海でのデザイン事務所の立ち上げに関わる。帰国後は学びの場、自由大学の初代学長に。現在、2児(3歳のさらちゃん、9ヶ月の航太郎くん)の母。最近、子育ての環境を考え、鎌倉に移住。

https://freedom-univ.com/people/izumi_rika/

(取材をさせていただいたのは真冬の2月。この日は、6ヶ月の航太郎くんを抱え、2歳のさらちゃんを膝で寝かせながら、公園にてお話をお伺いしました。)

かっこいい自分になりたくて、飛び出したその先に

  

ーりかさんは、以前、大企業で働かれていたんですよね。その時は、どんな働き方をされていたんですか?

そうそう!あの会社は、残業もないし、定時に帰ってねって言われるようなすごくいい会社だったね。営業の仕事をしていて何の不満もなかったんだけど、良すぎて合わなかったの。

ーえ…?会社が良すぎて辞めたんですか?

周りになりたい大人もいなかったし、10年後の自分を想像した時に「やばい!これでいいのかな…」って、安定しすぎた未来に、物足りなさを感じていて…。

漠然ともっと”かっこいい人”になりたいと思ってね(笑)。

ーかっこいい人…?

ほら、東京って雰囲気や内装が素敵でかっこいい場所がたくさんあるじゃない?わたしは、社会人になって初めて上京したんだけど、こういう”かっこいい空間を作ってる人”がどんなことを考えているんだろうって興味が湧いてきて、会社に行きながら、空間デザインの専門学校に通うことにしたんだよね。

結局、専門学校はあんまり自分には合わなかったんだけど、そのタイミングでIDEE(※1)創業者の黒崎輝男さんがやっているスクーリング・パッド(※2)に出会って、「これだ!」と思ったね。

(※1:IDEE…オリジナルデザインの家具やインテリア雑貨を取り扱うインテリアショップ)

(※2:スクーリング・パッド…起業・独立・転職・スキルアップのための専門スクール)

ーこれだ!と思えた原因はなんだと思いますか?

昔から学校の授業ってつまらなくて、あまり好きじゃなかったんだよね。空間デザインの専門学校もやっぱりつまらなかった。でも、スクーリング・パッドの授業は面白かったし、そもそも答えがないから、すごく考えるんだよね。この先の未来になんかある!って、そわそわしたり、わくわくする環境が新鮮で面白くて、とても刺激的に感じてね。

当時、会社を辞めよう!って思っていた時にスクーリング・パッドに出会ったんだけど、もう辞めてから考えるしかない!と思って、通っている途中で辞めたの(笑)。

ー会社を辞めてから、どうしていましたか?辞めてからの次の一歩って、大変じゃないですか!?

ちょうどそのタイミングで、スクリーング・パッドのゲストで来ていたインテリアデザイナーの佐藤一郎さんが上海事務所で働くスタッフを探していて、周りの人たちから、「上海好きだよね?」って声をかけてもらって。ちょっと前に旅行で行っただけだったんだけど、「はい、好きです!」って答えてたら、「じゃあ、行きましょう!」って、3ヶ月後には上海に行ってたね(笑)。それが27歳になりたての頃のはなし。

ー早いっ!上海での生活はどうでした?

とにかく毎日が冒険でだったね。

言葉が通じないのはもちろん、取り巻く状況そのものや「当たり前」、いろんな前提がまず違うじゃない?いきなり電気が切れるとか、買い物で高い値段にされるとか、言葉が通じない上に、常識や思考が違うから、いろんなことがうまくいかないんだよね。もうそんなことだらけ。でも、そんな問題をひとつひとつを乗り越えて行ったのが、今思えば楽しかったね。

ー上海ではどんな仕事を?

デザイン事務所の立ち上げをしていたんだけど、例えば、現地法人を作る手続きだったり、コンサルや銀行とのやりとりだったり、送金したり、税金を払ったり、もうなんでもやっていたよね。3年経って、30歳の時に日本に帰国したの。

自分で決めたものさしで動いてみる

ー帰国してからは、なにをされていたのですか?

こうして上海で仕事ができたのもスクーリング・パッドのおかげだったから、黒崎さんに挨拶に行こうと思って。ちょうどその頃、黒崎さんが自由大学(※3)を作ったばかりで、挨拶がてら顔を出しに行ったんだよね。そしたら「ちょっと手伝って!」って言われたのがはじまりで、帰国して2ヶ月後くらいから、自由大学の運営の手伝いをしていたね。

(※3:自由大学…「大きく学び、自由に生きる」をテーマにした大人の学び場)

ー最初はお手伝いをしていたんですね。

最初は本当に足りてないところを補う作業。時間割表を作るとか、申込者の名簿を作るとか、そういう事務的な部分を整えるようなことを手伝っていたね。

それ以外にも当時は、周りの知り合いのお手伝いをいくつかやっていたんだよね。なにが自分に向いているかわからないから、やりながら試していた時だね。

ー自由大学以外にもいろんなお手伝いをされていたんですね。いろいろと試す時に、これをやってみよう!って思う基準はあるんですか?

だいたい「やってみない?」って言われたことをやっていた感じだね。最初の一歩目は、与えられるパターンが多いかな。でも、その中から、次に自分はこういうことやってみたい!と思ってやってみたり、与えられたフィールドの中で工夫しちゃう。

ー興味のないことでも声をかけらたら、まずはやってみるんですか?

そうだね、ちょっとやってみるかな。最初は興味のないこともなんでもやっていたんだけど、やっぱり興味のないことだと、どうも次の知恵が出てこないんだよね。どう工夫したらいいのかわからない…みたいな。そこに対してアンテナが伸びない時は、自分の得意分野じゃないとわかって、辞めてみたり。そんなことを繰り返ししているうちに、だんだんと自由大学の仕事が増えていったね。

ーいろんなことを試していくなかで、自分の得意な分野がわかってきたのですね。

自分がどういう人間かっていうのもちょっとずつわかるようになってきた気がしたね。例えば、私はただやっているのが苦手で、ついつい工夫しちゃうことがわかったかな。”誰もやってなかったような小さな隙間仕事”が好きというか、ついつい始めちゃうんだよね。

でもこれは、東京に戻ってきて、1年くらいの間にいろんなことを経験して、失敗をした中で気がついていったかな。

ー様々な経験を通じて、自由大学に辿りついたのですね。自由大学では、主にどんなことをしていたのですか?

例えば、メイクを教える「顔学」や、日本に特化した「日本ワイン学」、自由大学に新しい講義が増えるように「キュレーション学」、働き方を話し合えるような「アメーバワークスタイル」などの講義を作りながら、自由大学の運営をしていたね。

(さらちゃんが生まれたばかりの2014年  photo by 石川妙子)

中でも「アメーバワークスタイル」は、私自身も働き方についてもっといろんな人と話をしたいと思って作った講義なんだけど、ほら、働き方の話ってなかなか話せる人いないじゃない?

ーたしかに。友人とも会社の人ともあまり話さないですね。

この講義でわたしは、背中を押すんじゃなくて、”ジャンプ台を用意したい”と思っていてね。結局、背中を押されて、押した人のタイミングで行っても意味がなくて、自分で決めて自分でやることに意味があると思うんだよね。

どんな低いジャンプ台でも、試しに落ちてみていいと思うし、やっぱり自分で飛ぶことに意味があると思っているから、手伝うんじゃなくて、ちょっとしたグランド整備みたいなことをしてるイメージかな。

ーそのように思うようになったのは、ご自身の経験からですか?

会社を辞めて、迷いながら、失敗しながら、得た気づきみたいのが大きいかな。会社を辞めたことにあまり意味はなくて、本当に大事なのは、”人のものさしじゃなくて自分のものさしで動けるようになったこと”なんだよね。

所属がどうこうじゃなくて、人のものさしから脱出することが重要だってことに、途中から気がついたね。会社をやめると何にもできなくなるじゃない(笑)。クレジットカード作れなくなったり、私はいいと思って会社を辞めたけど、すごい心配されたりね。はじめは、そういうひとつひとつになんでだろう?って疑問に思っていたんだけど、みんなものさしは違うんだよね。

ーそれで、今度はジャンプ台を作る側になろうと思ったのですね。

自分が信じる道ってなんなんだろう?って、自分がいいと思うところに目を向けるスイッチが大事だと、その過程で思ったんだよね。だからそれができるような、”試しに小さく一歩飛べるような、ちょっとした非日常的なジャンプ台”があったらいいなと思って。

それは、こういうものですよ!って教えるものでもないし、自分で気がつかないと意味がないことなんだけど、仲間もいて、ちょっといつもと違う非日常の”学びの場”がすごい最適なんだよね。私自身もそういうところで刺激を受けて、人生がガラッと変わったから。

子育ては最高のクリエイティブ

ー子どもが生まれてから働き方はどう変わりましたか?女性にとって、子育てと働き方って人生の大きなテーマだと思うのですが。

変わったことだらけ!まずは、一番優先すべきことが変わったよね。今までは、仕事もクオリティを出したくて、夜遅くまで時間をかけたりもしたけれど、子どもが生まれてからは、子どもとの暮らしが一番優先。だから、夜の講義はやらなくなったね。

今までは自分の好きなように判断してきたけれど、例えば、いつから保育園にいれるか?どんなスタイルで仕事続けるか?ベビーシッターを頼むのか?そういった小さなひとつひとつの”自分が決めなきゃいけない選択肢”に常に直面するようになったね。頭では理解していたつもりでも、本当にいろんな生き方があるなってことに子どもが生まれてから気づかされたよ。価値観や、なにを大事にしようかみたいなことをね。

ーたしかに…。保育園ひとつにしても、考え方は様々ですよね。今は子供といる時間を大切にしようと…?

そうだね、仕事は一旦おやすみ。でも、そうしてたら、なんかやりたくなってきた(笑)。それにね、25歳くらいのクリエイティブな仕事がしたいって思っていたときに、ある人に、

「子育てが一番のクリエイティブなんだよ」

って言われたことがあって、その時は理解できなかったけれど、本当にその通りだったんだよね。

ー子育てがクリエイティブ…?そんなイメージはなかったですね。

だって未来をつくっているんだよ!これから数年後に大人になっていくこの子たちが、未来の社会をつくっていく日がくるかもしれないし、いろんな可能性を秘めているからね。

そんな子どもたちのために、どんな環境を作るのかも無限だし、それってすごくクリエイティブじゃない?だからこそ、全て外注しちゃうのってもったいないと思って。

ー子育てが未来を作る…。たしかに。そう言われてみれば、そうですね。

わたしも楽しいし、刺激もたくさんもらえる。だってさ、こんな寒い日に水遊びする(笑)?

ー絶対しないです(笑)!

でも、ここ座ってても意外と寒くないでしょ?

大人だけだとしないけど、子どもと一緒に過ごしていると、日が伸びてきたな~、みたいな自然の小さな変化に気づくとか、子ども同士の人間ドラマとか、すごく学びが多いよね。

ー子どもを産むと自分の時間が無くなったり、やりたいことができなくなるようなネガティブなイメージを持っている女性って多いと思うんです。そんな中、りかさんの子育てはとても楽しそうに見えます。

子育ては楽しいよ!生きてる!って感じで。やりたいことができなくなるっていうけど、楽しいことが変わるんだよね。だから、楽しいことがもっと増える。子どもを通して見える世界が増えるから、今まで以上に世界が広がると思っているよ。

ー楽しみが増えるんですね!!外に出られなくなるから世界が狭くなるのかと思ってました…。

だって、子どもがいなかったら公園とかも素通りするでしょ?でも、子どもがいると同じ町でも楽しみ方が変わって、いろんな発見があるんだよね。だけど、どうしても関わる人の種類が少なくなっちゃうから、外の世界の風をときどき浴びて、外と中の両方の良さが混ざり合うのがいいよね。

私も若い頃は子どもができると、そもそもの自分のアイデンティティが消えちゃうんじゃないかって思っていたけど、そうじゃなかった!それは自分の考え方次第だったね。だからこそ、もっといろんな働き方ができたらいいよね。

ー最後に、今後の子育てや働き方について教えていただけますか?

これからね…。わたし予定立てられないんだよね(笑)。まずは、鎌倉に移住します!これは子どもがいる家族の暮らしをもっと楽しもうと思って。

(移住先の鎌倉での写真)

あとは、誰か周りの人に喜んでもらう、役に立つことがなんかの形でできたらいいなと思っているところ。いろんな形を変えるかもしれないし、今すぐではないかもしれないけれど、いろんな状況のなかで少しずつ自分の持っているものや能力を活かせることがあればやりたいよね。そのための今は、蓄えているような期間かな。今の経験や想いが後からじわじわと効いてくるようなものになったらいいよね。

◎編集後記◎

なんで、りかさんの子育ては楽しそうなんだろう。なんで、あんなに子供たちは生き生きしていて楽しそうなんだろう。ずっと疑問だった答えが見つかったような気がしてます。

働き方に憧れて、りかさんに出会ったけれど、今は働き方も含めた子どもとのその暮らしがとても素敵だな~と思っています。これからも、大きくなっていく子どもたちと共に進化していくりかさんの背中を追っていきたい(重いな笑)と思っています!

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